革靴でくるぶしが痛いと感じた瞬間、仕事や外出に支障が出てストレスになります。
痛みの正体は、前滑りや履き口の当たり、足型と木型の不一致など複数の要因が絡み合っていることが多く、やみくもに我慢すると症状が長引きます。
本記事ではくるぶしが痛い時の原因と対処法を整理し、フィットの見直しや適正サイズの選び方、歩き方の改善に加えて、即効性のある対策アイテムの使い分けまでを段階的に解説します。
革靴を履いててくるぶしが痛い理由や原因

- 前滑りしてトップラインがくるぶしに当たる
- 履き口のカーブ下にもぐって擦れる
- トップラインが硬く摩擦と圧迫が強い
- 足型と木型が合わずフィットが不均一
- 歩行の重心が乱れ特定部位に負担が集中する
前滑りしてトップラインがくるぶしに当たる
靴内で足が前へ滑ると、くるぶしの位置が本来のカーブから外れ、トップラインに擦れて痛みが出ます。
前滑りは、甲のホールド不足やサイズが大きいこと、紐の締め分けが甘いことが主因です。特に外羽根・内羽根ともに、甲のフィットが甘いと踵が浮き、着地と蹴り出しのたびに擦れが起きやすくなります。
したがって、甲周りの密着を高める調整と、歩行中の足の前後動を抑える工夫が効果的です。
有効な調整の方向性
- 甲のボリュームを補うタンパッドでホールドを高める
- 紐は甲の中部を起点に上下へ段階的に締め分ける
- 厚みのある靴下に頼りすぎず、靴そのもののフィットを優先する
履き口のカーブ下にもぐって擦れる
足首の骨は内外で高さが異なり、外側のくるぶしは低めです。履き口のカーブ(トップライン)よりもくるぶしが下へ潜ると、歩行時に縁が直接当たりやすくなります。
この状態は、踵が沈み込み過ぎている、カップが深い、あるいは足長・足囲の不一致で足が低いポジションにあるときに起こります。解決には、踵側を持ち上げてくるぶしの位置を上げる、または履き口との干渉を減らすのが筋道です。
高さ調整の考え方
- 踵下に薄めのヒールパッドを入れて位置を数ミリ単位で上げる
- 全長インソールで靴内の容積を詰め、沈み込みを抑える
- それでも当たる場合は、履き口形状が合う別木型を検討する
トップラインが硬く摩擦と圧迫が強い
新品や硬い革、芯材が強い履き口は、当たりが鋭くなります。くるぶし周辺は皮膚が薄いので、硬いエッジが繰り返し触れるだけで赤みや水ぶくれに発展しがちです。
素材のコシを適度に落とし、エッジを滑らかにするケアで、摩擦と圧迫を着実に軽減できます。
履き口を柔らかくする手順例
- クリームやストレッチムースで革繊維をほぐす
- 内側から親指や丸棒でやさしく揉み、外側へクセ付けする
- 強い熱や力で形状を崩さないよう、少しずつ繰り返す
足型と木型が合わずフィットが不均一
足囲が広い、甲が高い、踵が細いなどの特徴と、靴の木型が一致しないと、局所的に緩い・きついが混在します。結果として、緩い部位では足が遊び、きつい部位には過剰な圧がかかり、くるぶしの擦れを誘発します。
足長だけでなく足囲(ウィズ)や甲の高さ、踵幅を把握し、木型の特性と合わせることが要になります。
合致度を見極める観点
- 甲は締まるのに前足部が痛いなど、局所不均一がないか
- 踵抜けやかかとの浮きが生じないか
- 羽根の開き具合や中底への接地感が適正か
歩行の重心が乱れ特定部位に負担が集中する
後ろ重心や内外への偏りが強い歩き方は、踵やくるぶし周辺に過度なストレスをかけます。理想は踵接地から小指側、親指での押し出しへとスムーズに重心が流れることです。
靴のフィットが悪いほど重心は乱れやすく、悪循環になります。歩容を整えることで、同じ靴でも当たりが穏やかになることが少なくありません。
歩行面の見直し
- 接地は踵から静かに、蹴り出しは母趾球を意識する
- 歩幅を適正化し、足首の可動を邪魔しない紐の締めにする
- 痛みが強い日は短時間運用で慣らしを進める
革靴でくるぶしが痛い時の対策や対処法

- サイズの見直しを行う
- タンパッドで甲をホールドし前滑りを止める
- インソールでくるぶしの位置を上げる
- 履き口周りを柔らかくする
- 専門店・修理店で調整を検討する
サイズの見直しを行う
根本の対策はサイズ適合の再確認です。足長だけでなく足囲を測り、現在の靴が大きすぎていないか、小さすぎていないかを判断します。大きい場合は前滑りと踵抜けが起きやすく、くるぶしの当たりが増加します。
小さい場合は各所の圧迫で歩行が乱れ、結果的に擦れが生じやすくなります。店頭では午後(足が最もむくむ時間帯)に試着し、羽根の開き、踵の収まり、つま先余裕などを総合的に確認します。
タンパッドで甲をホールドし前滑りを止める
甲の空間を適切に埋めるタンパッドは、即効性の高い対策です。
甲がしっかりホールドされると踵の浮きが収まり、くるぶしの位置も本来のカーブに戻りやすくなります。貼り付け位置はシュータン裏の中央からやや上を基準に、紐の締め感と連動させて微調整します。
貼った直後は圧が強く感じることがあるため、数時間の慣らしを挟みながら締め方を最適化すると、フィットのバランスが整います。
インソールでくるぶしの位置を上げる
ヒールパッドや全長インソールで踵側を持ち上げると、くるぶしがトップラインから離れ、擦れが軽減します。厚みは数ミリ単位で効きが変わるため、入れ過ぎによる甲圧や足入れの窮屈さに注意します。
踵だけを上げるヒールパッドは即効性があり、全長インソールは沈み込みを抑えながら全体のフィットを底上げできます。靴内の容積や足のアーチとの相性を踏まえ、段階的に最適点を探ると無理がありません。
目的別に選ぶ調整アイテム
| 目的 | 推奨アイテム | 主な効果 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 前滑り抑制 | タンパッド | 甲のホールド強化 | 貼り位置で効きが変わる |
| くるぶし上げ | ヒールパッド | 踵の持ち上げ | 入れ過ぎは甲圧増 |
| 容積調整 | 全長インソール | 靴内の沈み込み軽減 | つま先余裕も要確認 |
履き口周りを柔らかくする
硬いトップラインは、革の繊維を緩めてエッジを丸くすることで当たりが和らぎます。
クリームやストレッチムースを薄く塗り、内側から指や丸棒でゆっくり揉みます。外側の手で表革を押さえ、シワや折れを作らないように支えるのがコツです。
熱を使う場合は低温の短時間にとどめ、素材を傷めない範囲で行います。仕上げに保革と乾拭きを行うと、柔らかさが安定します。
専門店・修理店で調整を検討する
セルフ調整で改善が乏しい、あるいはライニングや芯材の形が干渉する場合は、専門店に相談します。
半敷き下にフェルトを入れて踵位置を上げる、履き口の局所ストレッチ、踵カップの当たり取りなど、プロの加工は再現性が高く、副作用が少ないのが利点です。
オーダーやパターンオーダーを選ぶ際は足型データに近い木型を基点に微修正を重ねる方が、完成後の手直しリスクを抑えられます。
靴の手入れや靴擦れや痛みへの対策アイテムについては以下の記事をご覧くださいませ。前述の甲のホールド、くるぶしの位置を上げるためのアイテムも紹介しております。
痛みを繰り返さない選び方と歩き方


- 足長と足囲を測るフィッティング
- 試着でチェックすべき5項目
- 素材ケアで革を柔らかく保つ
- 重心移動を整える正しい歩行
足長と足囲を測るフィッティング
快適な履き心地づくりは、足長に加えて足囲、甲の高さ、踵の幅を正確に把握するところから始まります。
足は夕方にかけてむくみで大きくなりやすいため、測定は午後に実施し、左右それぞれを記録します。姿勢はまっすぐ立ち、体重を均等にかけ、かかとを壁につけてつま先の先端までを直線で測ると誤差が減ります。
足囲は親指の付け根と小指の付け根を通る一周を柔らかいメジャーで測り、締め付けすぎない軽い張力にとどめます。一般に左右差は数ミリ生じることがあり、大きい方の数値を基準にする方が失敗を避けられます。
つま先の余裕は7〜10mm、甲の当たりは痛みが出ない範囲で均一が目安です。ブランドや木型ごとに甲の起伏や踵の収まりが異なるため、店頭では同サイズでも必ず複数の木型を履き比べ、羽根の開き具合、踵の浮き、履き口とくるぶしの関係を確認します。
これらの基礎を丁寧に踏むと、調整前から不一致を回避でき、くるぶしへの干渉や擦れを大きく減らせます。
試着でチェックすべき5項目
試着は短時間の立位と数十歩の歩行で評価を分けます。
見るべき5項目
- 踵のホールド
- 甲の締まり
- つま先余裕
- 羽根の開き
- 履き口とくるぶしの関係
踵は浮かず、甲は痛まず、つま先には適切なゆとりがあり、羽根は閉じ切らず余裕がある状態が理想です。
歩行では踵が左右に泳がないこと、履き口が骨に擦れないことを確認し、迷ったらよりフィットの良い方を選びます。
素材ケアで革を柔らかく保つ
革は乾燥で硬化し、当たりが強くなります。定期的な汚れ落とし、保革、ブラッシングで繊維の柔軟性を維持すると、履き口の角も当たりにくくなります。雨後は陰干しとシューキーパーで形を整え、急激な乾燥を避けます。
ケアを習慣化するほど、馴染みが進んだ心地よいフィットを長持ちさせられます。
重心移動を整える正しい歩行
踵から静かに接地し小指側に重心を通してから母趾球で押し出す流れを意識すると、足首周りのストレスが減ります。
歩幅を少し狭め、膝と足首を連動させると、上下動が小さく安定します。靴紐は甲中央を基点に上下で強弱をつけ、足首側は可動を妨げないほどに留めると、歩行のリズムが整います。
以上の点を積み重ねることで、同じ靴でも擦れの発生が明確に減少します。
革靴を履いててくるぶしが痛い時の原因と対策まとめ
本記事のポイント
- くるぶし痛の主因は前滑りと位置ずれで擦れが生じる
- 履き口の硬さや形状が骨に当たり痛みを助長する
- 足型と木型の不一致は緩みと圧迫を同時に招きやすい
- 歩行の重心が乱れると局所負担が増え擦れが悪化する
- サイズは足長だけでなく足囲と甲高も基準に選ぶ
- 午後の試着で羽根の開きと踵保持を総合確認する
- タンパッドで甲を支えると前滑りと踵浮きが減る
- ヒールパッドや全長インソールで高さと容積を調整
- 履き口はクリームと揉みで繊維をほぐし当たり緩和
- 痛みが強い日は短時間運用で慣らしを計画的に行う
- ケアと乾燥管理で革の柔らかさと形状を維持する
- 正しい重心移動と歩幅調整で足首周りの負担を軽減
- 自力で難しい当たりは専門店の局所調整を活用する
- 木型との相性を知り次回以降の選び方に反映させる
- 総じて適切なサイズ選びと調整で痛みは解決可能
革靴の手入れや痛み対策のアイテムは以下の記事で紹介しております。


